スナック大宮お客さんインタビュー#10

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 スナック大宮には僕の古い友人知人が遊びに来てくれることもあります。長野県の佐久穂町で直販農家GoldenGreenを営んでいる在賀耕平さんと出会ったのは10年以上前のこと。彼がITベンチャー企業の社員だったとき、僕がその会社の機関誌を作るお手伝いをしていたのでした。当時、在賀さんは僕にとってお客さんの一人。「感じが良くて賢い人だな」とは思っていましたが、特に親しく付き合うことはありませんでした。

 再会したのは数年後。在賀さんは会社を辞めて、東京生活すらも卒業。奥さんと2人で長野県の山奥に移住し、ユニークな農業を始めた、と伝え聞いたのです。僕は取材させてもらうついでに顧客にもなりました。以来6年あまりの付き合いです。GoldenGreenから毎月「旬の野菜セット」が送られてくるのを楽しみにしています。そして僕たちは友だちになり、年1ペースで佐久穂町に遊びに行くようになりました。

 薪ストーブのある素敵なご自宅での生活を満喫している在賀さんですが、「年に2、3回」は長野県外に出て気分転換をしているそうです。昨年末は東京・西荻窪でのスナック大宮に来てくれました。

 

――今日は遠いところをお越しいただきありがとうございます。

 いえいえ。楽しみにして来ました。お昼の開催だったので、佐久穂町からも日帰りができて助かります。

――スナック大宮に参加してみようと思った理由を教えてください。僕が誘ったんですけどね(笑)。

 田舎で暮らしていると人間関係が固定されてしまいます。自ら動く必要があるんです。今日は、普段は会うことのない知らない人たちとのおしゃべりを楽しみにしています。今の生活ではそんな機会はめったにありませんから。もちろん、大宮さんと会うためもありますよ。今年(2016年)は大宮さん夫婦がうちに泊りにいらっしゃらなかったので、たまには僕のほうから出かけてみようと思いました。

――在賀さんは元々はIT系のコンサルタントですよね。「知らない人とのおしゃべり」は大得意な気がします。

 そんなことはありません。僕は社交的に見られることもありますが、単なる見せかけです(笑)。営業などの目的がある場合は話すことができますが、そうでないおしゃべりには苦手意識があります。3年付き合ってから結婚した妻との生活も11年目。若い頃に合コンに参加した経験も数えるほどしかありません。

――スナック大宮は「大宮の文章の読者」という共通点が一応ありますし、みなさんが知らない人とのおしゃべりを目的にして集まっています。そういう意味では、「人見知りだけど他人と和やかに交流したい」人にはちょうどいい場かもしれません。話は変わりますが、「田舎に住んでいると人間関係が固定される」というお話には共感します。僕も4年半前に愛知県蒲郡市に引っ越してからは、匿名性があまりない生活に安心感と閉塞感を同時に感じるからです。たまには大都会の片隅で行きずりの恋をしてみたくなります(笑)。

 今年、妻と一緒に蒲郡に初めて遊びに行かせてもらいましたね。そのときに感じたのが、佐久穂町と蒲郡では田舎レベルが異なることです。東京都心をレベル0、限界集落をレベル10とします。僕の感覚では、佐久穂町はレベル7.5ぐらい。大宮さんたちが住んでいる蒲郡駅前はレベル4ですよ。JRの快速電車がとまるし、コンビニにも歩いて行けるし、喫茶スロースでは知らない人との出会いがあるじゃないですか。人口1万人ほどの佐久穂町はとてもいいところですが、「普段会えない人」なんていません。だから、スナック大宮みたいな場が新鮮なんです。

 

 在賀さんとの「住む場所と暮らし方」の会話はいつも刺激的です。僕にとってはIターンによる地方暮らしの先輩でもあるので、お話を聞くたびに勉強になります。今回は「田舎レベルには濃淡がある」という話に興味を惹かれました。生活の場を都会から地方に移したいと考えている人は少なくないと思いますが、地方にもいろいろあるんですよね。まったく自分に合わない場所に住んでしまうと悲しい結果に終わりかねません。

 車の運転が苦手で寂しがり屋で変に社交的な僕は、「田舎レベル4」の蒲郡駅前の賃貸マンションで暮らすのが性に合っているのかもしれません。ただし、その暮らしを維持・向上させていく工夫と努力はやはり必要です。先日は、マンションの1階に住む4世帯での家飲みを企画しました。会場はもちろん我が家。都会のマンションで「うちで飲もうよ」なんて隣人を誘ったら気持ち悪がられそうですが、地元出身者が大半の蒲郡なら大丈夫。今では4世帯がLINEとインターフォンでつながっています。

 この文章を読んでくれているあなたが住む町の「田舎レベル」はどれぐらいでしょうか。そのレベルはあなたに合っていますか。安心かつ自由に暮らすためにどんな創意工夫をしていますか。僕はそんな話が大好きです。スナック大宮にお越しの際は、在賀さんや僕をつかまえて話しかけてくださいね。

西荻窪の老舗喫茶店「それいゆ」にて。名物のカフェオレを記念撮影中

西荻窪の老舗喫茶店「それいゆ」にて。名物のカフェオレを記念撮影中

著者プロフィール

大宮 冬洋
大宮 冬洋
 1976年埼玉県所沢市生まれ、東京都東村山市育ち。男三人兄弟の真ん中。一橋大学法学部を卒業後、ファーストリテイリング(ユニクロ)に入社して1年後に退社。編集プロダクションを経て、2002年よりフリーライターになる。
 高校(武蔵境)・予備校(吉祥寺)・大学(国立)を中央線沿線で過ごし、独立後の通算8年間は中央線臭が最も濃いといわれる西荻窪で一人暮らし。新旧の個人商店が集まる町に居心地の良さを感じていた。今でも月に一度は西荻に「里帰り」している。
 2012年、再婚を機に愛知県蒲郡市に移住。昭和感が濃厚な黄昏の町に親しみを覚えている。平日の半分ほどは東京・門前仲町に滞在し、東京原住民カルチャーを体験中。

<著書>
『30代未婚男』(リクルートワークス研究所との共著/NHK出版 生活人新書)
『ダブルキャリア』(荻野進介氏との共著/NHK出版 生活人新書)
『バブルの遺言』(廣済堂出版)
『あした会社がなくなっても生きていく12の知恵』(ぱる出版)
『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました』(ぱる出版)
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