お見合いおじさんが聞く!その6

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イラスト:つぼいひろき

僕の数少ない趣味の一つは「恋バナ」です。食事会を主催することも好きなので、独身男女の出会いの場をセッティングしちゃうこともあります。2014年の春からは「お見合いおじさん」になることを宣言して、その活動報告を日経ウーマンオンラインにて連載させてもらっていました。成婚率ゼロのまま連載は終了しましたが、我がオネット(大宮ネットワーク)メンバーのその後は気になりますよね。盟友のイラストレーターつぼいさんと一緒に、彼らを引き続き応援していきます!

 

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結婚にも恋心が必要。恋心には「若々しさ」が必要!?

 

 こんにちは。大宮です。5月に登場した小島尚子さん(仮名、38歳)を覚えている読者の方も多いと思います。あのとき、僕は本当にショックを受けたのですよ。2年以上も応援を続けている小島さんに「男性に求める条件を2つだけ教えて」と改めて問うたところ、2番目の条件として「若さ。若々しい外見と雰囲気」を挙げたからです(1番目は「飲み食い好きであること」です)。率直というか恋愛至上主義というか……。

 男性も見た目が大事だというのはわかっていたはずなのです。清潔感を保つことはもはや必須条件ですし、髪型や服装を工夫するだけで「男っぷり」は上がったりします。でも、小島さんの求めるものはそんなレベルではありません。肌つやなども含めて、若々しくないと恋愛感情を持てない、というのですね。

 はっきり言って困ってしまいます。アラフォーの小島さんに紹介できるのは同年代の男性です。いや、できれば50歳ぐらいまで視野を広げてほしいぐらいですよ……。会社員の男性は30代半ばを過ぎると、よく言えば重々しくなり、悪く言えばおじさんぽくなっていきます。会社での責任が重くなる年頃なので当然です。もう若くはないので、そのストレスが表に出やすくなります。女性ほどには美容に気を配るわけでもありません。つまり、「若々しい外見と雰囲気」を備えたアラフォー男性を見つけるのは至難の業なのです。

 光明もあります。僕は勝手に「会社できっちり働いている小島さんは、相手の男性も会社員もしくは公務員がいいのだろう」と勝手に思い込んでいました。しかし、聞いてみると相手の職業や働き方にはあまりこだわりがないようです。

 自営業でもいいのであれば光明があるのです。僕が属する出版業界には独身者のフリーランサーがたくさんいます。ストレスの少ない生き方をしているので、10歳ぐらいは若く見える人も少なくありません。ここで僕が思い浮かんだのが相棒のつぼいさん。彼自身は結婚しているのですが、面白いお友だちが多そうな人柄の男性です。

 さっそく相談したところ、即座に5人ほどの独身男性をリストアップしてくれました。まさに灯台下暗し。ていうか、つぼいさん。もっと早く言ってよ~。

 その5人の中で、最も小島さんに似合いそうなのが、つぼいさんと同じくイラストレーターの佐藤啓介さん(仮名、40歳)。30代を過ぎてからイラストレーターになったという遅咲きのキャリアの持ち主ですが、精力的に仕事をしているようですし、つぼいさんによれば「外見もかなり若々しい」とのこと。メールをすると快諾をしてくれました。

 お見合いの場所は、僕が行きつけのアジア食堂「ぷあん」(東京・西荻窪)で決定。日程は、愛知在住の小島さんの上京スケジュールに合わせました。昼からビールを飲みながら楽しくお見合いしちゃおう、という趣向ですよ。

 当日、なぜか最も緊張していたのがつぼいさんでした。どう振る舞ったらいいのかわからない、とのこと。初々しいなあ。僕はさすがに慣れましたよ。お見合いする2人は立派な大人です。僕たちがフォローすることなんてほとんどないのです。不自然に話題を振ったりするのではなく、肩の力を抜いて普通におしゃべりすればいいのです。すると、肝心の2人もリラックスして、普段に近い姿を相手に見せることができるのではないでしょうか。

 佐藤さんのほうもやや緊張気味。質問をすると感じ良く答えてくれるのですが、積極的に話す様子はありません。控えめな人柄なのだと思います。でも、佐藤さんはとにかく顔がいい。ものすごいイケメンという意味ではなく、笑い顔なんですよね。黙っていても笑っているように見えるのです。そして、期待通りの若々しさ! 

 小島さんのほうは堂々としています。楽しそうにビールを飲みつつ、みんなに話を振ってくれました。

 気遣い上手で社交的な小島さんと、穏やかで働き者な佐藤さん。僕はお似合いだと思いました。佐藤さんは海外旅行や山登りが趣味とのこと。まずは友だちからのスタートでもいいのですが、僕たちの年代にとって一番重要なのは「時間を無駄にしないこと」ですよね。

 付き合うか否かは1ヶ月ぐらいで判断し、もしお付き合いができたら半年後には婚約をする、ぐらいのスピード感がなければ、あっという間に次の誕生日が来てしまいますよ。もう一度デートを重ねたら、2人で旅に行って来たらどうでしょうか。いい報告を期待しています!

著者プロフィール

大宮 冬洋
 1976年埼玉県所沢市生まれ、東京都東村山市育ち。男三人兄弟の真ん中。一橋大学法学部を卒業後、ファーストリテイリング(ユニクロ)に入社して1年後に退社。編集プロダクションを経て、2002年よりフリーライターになる。
 高校(武蔵境)・予備校(吉祥寺)・大学(国立)を中央線沿線で過ごし、独立後の通算8年間は中央線臭が最も濃いといわれる西荻窪で一人暮らし。新旧の個人商店が集まる町に居心地の良さを感じていた。今でも折に触れて西荻に「里帰り」している。
 2012年、再婚を機に愛知県蒲郡市に移住。昭和感が濃厚な黄昏の町に親しみを覚えている。月のうち数日間は東京・門前仲町に滞在し、東京原住民カルチャーを体験中。
 2019年、長期連載『晩婚さんいらっしゃい!』により東洋経済オンラインアワード2019「ロングランヒット賞」を受賞。

<著書>
『30代未婚男』(リクルートワークス研究所との共著/NHK出版 生活人新書)
『ダブルキャリア』(荻野進介氏との共著/NHK出版 生活人新書)
『バブルの遺言』(廣済堂出版)
『あした会社がなくなっても生きていく12の知恵』(ぱる出版)
『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました』(ぱる出版)
『人は死ぬまで結婚できる~晩婚時代の幸せのつかみ方~』(講談社+α新書)
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