東京フォリパートナー(東京都渋谷区)

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写真:HISやJTB、LINEなどで勤務した後に起業した守部さん。誠実な雰囲気の男性です。

会員の8割は30代。7割は「普通に恋愛してきた人」です
「結婚相談所とマッチングアプリはまったく別物のサービスだと私は思います。特に男性の立場からすると、マッチングアプリは彼女や遊び相手を探す場です。一方の結婚相談所は結婚だけを真剣に考えている人が集まる場所。うちに来ていただく方も、『結婚したいのかどうか自分でもわからないけれど恋人は欲しい』という場合にはアプリの利用を勧めています。もちろん、結婚相談所と並行してもかまいません」
 余裕のある話し方をするのは、東京フォリパートナー代表の守部弘昭さん。独立開業7年目にして、自身を含めてカウンセラー9名体制で運営している。
 フォリパートナーの売りの一つが、会員の性別や年齢、職業などによって成婚率の高いカウンセラーを割り当てること。そして、最後まで親身になってフォローをする。
「カウンセラーの性格も様々です。サバサバしている人もいればじっくり寄り添う人もいます。相性が良さそうな人を割り当てるのは私の仕事です」
 会員は来店ベースだと8:2で女性のほうが多い。実際の会員は65:35の割合だと守部さんは明かしてくれた。男女ともに20代後半から40代半ばまでの人がほとんどで、30代が8割を占めるという。
「起業する前は、結婚相談所には恋愛下手な人が多いと私も思っていました。でも、実際にはそういうタイプは2割ぐらいで、7割は普通の人たちです。1割はすごくキレイな人や年収が高い人がいて驚きます。冷やかしではなく、仕事が忙しくて出会っている時間がないので、結婚のご縁を効率よく作りたい、という理由です」
 東京フォリパートナーは結婚相談所の連盟としては最大手のIBJに加盟している。合わせると何万人もの会員数がいるため、「条件のいい1割」がプロフィールを公開すると初日だけで何百件ものお見合い申し込みが来ることがあり、その人たちとお見合いできるのは条件面で釣り合いが取れる人に限られる。「結婚相談所には『いい人』がいない。いても会えない」と嘆く前に、相手と自分とのバランスを考慮すべきなのだ。

お互いの経歴がわかっているから結婚生活もうまくいく
 ここ数年で結婚相談所のハードルは格段に低くなった。以前は、会員情報は紙のファイルに秘匿されていて、相談所に出向かなければ内容を見られないのが当たり前だった。しかし、近年は会員になればオンラインで異性のプロフィールを見られるようになり、忙しい社会人でも手軽に利用できる。この点ではアプリとあまり変わらない。異なるのは、書類審査や料金、そして結婚への本気度だ。
 守部さん自身、4年前に結婚相談所(東京フォリパートナーではない)に入会してすぐに相手を見つけて結婚を果たした経験がある。相手は11歳下の「ポジティブな性格」の女性だ。
「私はバツイチです。35歳のときに結婚して3年後に離婚しました。恋愛結婚では、結婚した後にわかることが多いですよね。一方、結婚相談所はお互いの経歴があらかじめわかっているので、価値観や考え方が似ている人を選び合うことができます」
 反省を踏まえて守部さんが重視したのは、学歴や職歴などの「育ってきた環境」である。守部さんと奥さんはともに10年以上、正社員のサラリーマンとして責任感を持って働いてきた経験がある。そのため、一緒に暮らして意見が食い違うことが少ないと守部さんは実感している。
「例えば、金銭感覚。この金額ならば1人で決めても良くて、これ以上は2人で話し合う必要がある、などの感覚が似ています」

沖縄旅行にて。「結婚した翌年に生まれた娘はもう3歳です」(守部さん)

沖縄旅行にて。「結婚した翌年に生まれた娘はもう3歳です」(守部さん)

恋愛の「自由度」を下げるからこそ、短期間で結婚できる
 守部さんによれば、結婚相談所には「制約」もある。お見合いの翌日までには仮交際をするか否かを返信し、仮交際(恋人同士になるまでの準備期間)、真剣交際(結婚を見据えた恋人同士の期間)へと進み、一定期間以内に結婚の「意志固め」をする。つまり、結婚への流れがシステムとして決まっており、その間は双方のカウンセラーが見守っている。効率的に成婚に至るため、恋愛の自由度を下げているのだ。
「結婚はしたいけれど、『婚活』という枠に入りたくないという人は、転職したいと言いながらも転職活動をしない人と同じ。一歩を生み出さない人たちです。結局のところ、変化を望んでいないのでしょう」
 転職経験も豊富な守部さんと話していると、婚活と就職(転職)活動は似ていると改めて思う。結婚とはお互いを「正社員」として認め合うことなのだ。当然、内定をもらったら他は断らなければならず、入社後は誠意と責任感が求められる。結婚相談所の利用を就職活動に例えるならば、マッチングアプリはアルバイト先を探すITツールだと言えるかもしれない。
 結婚相談所を活用して、すぐに結婚相手を見つけた守部さん。あえて自由度の低い環境に身を置いて婚活をした成果だ。そして、現在の生活においては自由を満喫している。
「独立した理由は、3つの自由が欲しかったからです。会社員には必ず人間関係のストレスがあります。時間も自由になりません。そして、給料も決まっています。独立したことで、ストレスから解放されて時間とお金も自由になりました。」
 共働きの奥さんも守部さんの会社を「社会にも貢献できる素晴らしい仕事」と認め、応援してくれている。価値観が似ていて尊重し合えるからこそ、束縛などはない。
「会社がもう少し大きくなったら横ばいでいいと思っている。1人のカウンセラーが担当する会員さんも30人までと決めています。むやみに売り上げが増えるとストレスも増し、時間もなくなってしまうからです」
 守部さんは年に1回は沖縄に家族旅行を楽しみ、趣味のドライブやジムでのトレーニング、ランニングも続けている。良き結婚は個人をむしろ自由にするのだ。(取材日:2020年11月4日)

※東京フォリパートナーの問い合わせ先はこちらです。
※本記事は結婚相談所比較申込サイト「こんかつ山」で掲載していたものです。サイトの閉鎖に伴い、関係者の許可を得て、本ホームページに転載します。記事内容は取材当時のものです。

著者プロフィール

大宮 冬洋
 1976年埼玉県所沢市生まれ、東京都東村山市育ち。男三人兄弟の真ん中。一橋大学法学部を卒業後、ファーストリテイリング(ユニクロ)に入社して1年後に退社。編集プロダクションを経て、2002年よりフリーライターになる。
 高校(武蔵境)・予備校(吉祥寺)・大学(国立)を中央線沿線で過ごし、独立後の通算8年間は中央線臭が最も濃いといわれる西荻窪で一人暮らし。新旧の個人商店が集まる町に居心地の良さを感じていた。今でも折に触れて西荻に「里帰り」している。
 2012年、再婚を機に愛知県蒲郡市に移住。昭和感が濃厚な黄昏の町に親しみを覚えている。月のうち数日間は東京・門前仲町に滞在し、東京原住民カルチャーを体験中。
 2019年、長期連載『晩婚さんいらっしゃい!』により東洋経済オンラインアワード2019「ロングランヒット賞」を受賞。

<著書>
『30代未婚男』(リクルートワークス研究所との共著/NHK出版 生活人新書)
『ダブルキャリア』(荻野進介氏との共著/NHK出版 生活人新書)
『バブルの遺言』(廣済堂出版)
『あした会社がなくなっても生きていく12の知恵』(ぱる出版)
『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました』(ぱる出版)
『人は死ぬまで結婚できる~晩婚時代の幸せのつかみ方~』(講談社+α新書)
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