婚活サロン 寿プロデュース(大阪市北区)

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写真:キャリアコンサルタントの資格を持つ岩田さん。「結婚もキャリアの一環だと思っています」とのこと。頼れる女性です。

「お客様を選り好みしない」「希望は辛抱強くすべて聞く」「何が何でも結果を出す」
 上品な着物姿の優しそうな女性がZoom画面の向こうに座っている。大阪府堺市で寿プロデュースを運営している岩田寿子(としこ)さんは、一見すると、専業主婦として子どもを育て終えたのを機に開業したような女性だ。しかし、会話を始めるとビジネスの世界で揉まれてきたことがわかる。優しさは漂わせながらも、論理的で無駄のない話し方なのだ。
 岩田さんは16年間も地域密着の人材派遣会社で「営業職兼キャリアコンサルタント」として働いてきた実績がある。途中の2年間は、社内の新規ビジネスとして結婚相談所を開設。運営責任者として携わっていた。人と人(企業)をつなげるビジネスという点では人材派遣と結婚相談所は似ているのだ。
「ただし、結婚相談所のほうがその人の人生すべてに関わることができます。その新規事業で結婚した方々とはお付き合いが続いています。お子さんが生まれたときに報告していただいたり、夫婦げんかの相談を受けたり。退会者との関わりは収益にはなりませんが、私は自分の家族が増えるような気持がしています」
 このようなセリフを聞くと、優しさの名のもとに自分の価値観を押し付けてくるカウンセラーなのではないかと心配になるが、岩田さんの場合は無用。前職の豊かな経験によって、「お客様を選り好みしない」「希望は辛抱強くすべて聞く」「何が何でも結果を出す」ことが徹底しているのだ。

結婚相談所での婚活はスタートダッシュが重要な理由
「派遣会社の営業をしていたときも、派遣する方にダメ出しをするのではなく、その魅力を探して引き出すことを心がけていました。どうしても直していただきたいところは理由を伝えて納得してもらうことを大切にしています」
 このスタンスは結婚相談所の運営にも通じている。例えば、いわゆる婚活ファッションを嫌がり、黒や紺の服装を好む会員女性がいたとする。岩田さんならばこのように話しかける。
「お仕事の場合は確かに黒や紺は良いと思います。誠実な印象を相手に与えられるからです。でも、婚活のときは明るい色の服を着たほうがお顔の色が良くなります。写真撮影のときはこんな服を着てみませんか?」
 岩田さん自身、頭ごなしでダメ出しをされたら反発するタイプらしい。だからこそ、ちゃんと理由を伝えて、「やるかどうかはご本人次第」という姿勢を貫いている。
「結婚相談所は入会時のやる気があるときにスタートダッシュをしないと波に乗りにくい、という特性があります。システム上、入会直後の方にお見合い申し込みが集中するのです。最初はお見合いをたくさんやって、並行して何人かの方と仮交際をして、徐々にお一人に絞っていく。こうしたコツは事前にお伝えしています」
 仲人型の結婚相談所の最大の利点は、最初から最後まで寄り添ってくれるカウンセラーの存在に尽きる。顧客との信頼関係をベースとして、言うべきことは言って成果を追求するのがプロのあり方なのだ。
 結婚相談所業の魅力に取りつかれた岩田さんは、新規事業に集中したいと会社に提案。折り合いがつかず、「円満退社」をしたのが2019年末のことだ。そして自らの結婚相談所をスタートした。

 岩田さんの夫婦写真。2児のシングルマザーとして38歳のときに事実婚をした岩田さんは次男が大学を卒業したのを機に入籍。様々な人生経験を持っています。

岩田さんの夫婦写真。2児のシングルマザーとして38歳のときに事実婚をした岩田さんは次男が大学を卒業したのを機に入籍。様々な人生経験を持っています。

「結婚の条件」ではなく、「どんな結婚生活をしたいのか」を具体的に聞き取る
 岩田さんが派遣会社の営業職時代に身に着けたスキルはまだある。登録者の希望をすべて聞いたうえで、具体例を提示しながら「許容範囲」を少しずつ広げ、派遣先企業とのマッチングをすることだ。
「自宅から15分圏内、9時から15時まで、時給は1500円以上、などの希望を言ってくる方もいました。当然、そのすべてはかなえられません。『16時までのお仕事だけど、行ける?』とか『時給が50円低いけど、どう?』と投げかけていきます。そのプロセスが大変だと思ったことはありません。みなさん、仕事をしたいから派遣登録をしたのです。その希望をかなえてあげることに喜びと魅力を感じていました」
 結婚相談所の場合も同じことだ。お見合いを組む作業を本人任せにすると、自らの条件に縛られて出会いの幅を狭めることになりかねない。岩田さんは「結婚の条件」ではなく「どんな結婚生活をしたいのか」を具体的に聞き取るようにしている。
「仕事は続けながら、土日は家族でゆっくり過ごしたい、という女性がいたとします。その生活を一緒にできる男性という視点で探すと、年収の条件は少し下げられるかもしれません。逆に、高収入の男性は土日も働いていたり接待ゴルフがあったりするものです」
 男性会員の場合は、自分の住んでいる地域以外の女性にも目を向けるように促す。岩田さんによれば、岡山県や四国などには結婚して関西圏に移住することを望む女性は少なくない。
 家族の世話を焼くような情熱と、プロとして顧客に接する冷静さ。両方を兼ね備えた岩田さんはこれから着実に成婚実績を積み重ねていく気がする。(取材日:2020年11月5日)

※寿プロデュースの問い合わせ先はこちらです。
※本記事は結婚相談所比較申込サイト「こんかつ山」で掲載していたものです。サイトの閉鎖に伴い、関係者の許可を得て、本ホームページに転載します。記事内容は取材当時のものです。

著者プロフィール

大宮 冬洋
 1976年埼玉県所沢市生まれ、東京都東村山市育ち。男三人兄弟の真ん中。一橋大学法学部を卒業後、ファーストリテイリング(ユニクロ)に入社して1年後に退社。編集プロダクションを経て、2002年よりフリーライターになる。
 高校(武蔵境)・予備校(吉祥寺)・大学(国立)を中央線沿線で過ごし、独立後の通算8年間は中央線臭が最も濃いといわれる西荻窪で一人暮らし。新旧の個人商店が集まる町に居心地の良さを感じていた。今でも折に触れて西荻に「里帰り」している。
 2012年、再婚を機に愛知県蒲郡市に移住。昭和感が濃厚な黄昏の町に親しみを覚えている。月のうち数日間は東京・門前仲町に滞在し、東京原住民カルチャーを体験中。
 2019年、長期連載『晩婚さんいらっしゃい!』により東洋経済オンラインアワード2019「ロングランヒット賞」を受賞。

<著書>
『30代未婚男』(リクルートワークス研究所との共著/NHK出版 生活人新書)
『ダブルキャリア』(荻野進介氏との共著/NHK出版 生活人新書)
『バブルの遺言』(廣済堂出版)
『あした会社がなくなっても生きていく12の知恵』(ぱる出版)
『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました』(ぱる出版)
『人は死ぬまで結婚できる~晩婚時代の幸せのつかみ方~』(講談社+α新書)
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