以下、先月分の読書録です。
〇佐藤優『大国の掟』/☆宮城谷昌光『風は山河より』/〇島地勝彦『甘い生活』/〇小川さやか『「その日暮らし」の人類学』/〇日高敏隆『人間はどこまで動物か』/☆高峰秀子『おいしい人間』/〇ナンシー関、リリー・フランキー『小さなスナック』/〇中川淳『経営とデザインの幸せな関係』/〇出井康博『ルポ ニッポン絶望工場』/☆山田ズーニー『理解という名の愛がほしい』/☆田辺聖子『人生はだましだまし』/〇高峰秀子『まいまいつぶろ』/☆夏石鈴子『いらっしゃいませ』(〇は初読、☆は再読)
10年ぶりぐらいに読み返した表題作。会社で働くということはどういうことなのか。新人OLの主人公・みのりの目線で描いた小説です。恋愛要素がほぼゼロで、ひたすらに「ともに働く」ことを見つめています。
<自分の自信なんて、実は全然必要ないのかもしれない。自分以外の人が、これでいいのだと決めてくれたら、もうそれで十分なのではないか。みのりの頭はいつもひまだから、自分のことばかりつい考え過ぎる。でも、その頭も実はあまりあてにはならないのではないか。大袈裟なような気がするけれど、あの面接に通ったことで、みのりは自分の頭から、少し離れてみようとやっと思えたのだ。自分が決めたこと以外のことも、現実にこうして起るのだから。>(本文より抜粋)
「自分」の力を伸び伸びと発揮して他者・社会に貢献するためには、小さな「自分」を捨て去ることも必要なのだ、と説いているのだと感じました。年度初めのいいタイミングで読み返すことができたと思います。
著者プロフィール
- 1976年埼玉県所沢市生まれ、東京都東村山市育ち。男三人兄弟の真ん中。一橋大学法学部を卒業後、ファーストリテイリング(ユニクロ)に入社して1年後に退社。編集プロダクションを経て、2002年よりフリーライターになる。
高校(武蔵境)・予備校(吉祥寺)・大学(国立)を中央線沿線で過ごし、独立後の通算8年間は中央線臭が最も濃いといわれる西荻窪で一人暮らし。新旧の個人商店が集まる町に居心地の良さを感じていた。今でも折に触れて西荻に「里帰り」している。
2012年、再婚を機に愛知県蒲郡市に移住。昭和感が濃厚な黄昏の町に親しみを覚えている。月のうち数日間は東京・門前仲町に滞在し、東京原住民カルチャーを体験中。
2019年、長期連載『晩婚さんいらっしゃい!』により東洋経済オンラインアワード2019「ロングランヒット賞」を受賞。
<著書>
『30代未婚男』(リクルートワークス研究所との共著/NHK出版 生活人新書)
『ダブルキャリア』(荻野進介氏との共著/NHK出版 生活人新書)
『バブルの遺言』(廣済堂出版)
『あした会社がなくなっても生きていく12の知恵』(ぱる出版)
『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました』(ぱる出版)
『人は死ぬまで結婚できる~晩婚時代の幸せのつかみ方~』(講談社+α新書)
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