先日、実家に帰ったら父親から「男性看護師の記事を読んだぞ。仕事に対する考え方などが面白かった!」と言われました。スナック大宮お客さんインタビューの第3回を読んでくれたようです。僕はいろんなネット媒体で文章を発表しているつもりですが、ピンポイントでホームページの記事を読む人もいるのですね……。恋愛や結婚とは関係がないところが70代既婚男性には良かったのかもしれません。
お父さんに誉められちゃった僕。このインタビューシリーズを続ける気持ちが高まっています。第8回は4年以上前からよく来てくれている常連さんに話を伺いました。都内の病院で勤務医をしているNさん(40代の既婚男性)です。
――スナック大宮に遊びに来てみようと思った経緯を教えてください。
大宮さんの連載「ロス女VSボク様50番勝負」を読み始めたのがきっかけだったと記憶しています。そこからブログを見つけて、スナック大宮にも参加してみました。
僕は大学と最初の勤務地が関西なので東京には友だちが少ないのです。医者は交際範囲が狭いんですよ。医療関係者以外の人と仲良くなりたいと思いました。スナック大宮に初めて参加した当時は独身だったので、女性のお客さんと意気投合してデートしたこともあります。新宿の居酒屋を選んだら、「最初のデートでこの店。センスが悪い!」とやり込められました(笑)。
――それもまたいい思い出ですね。その後、良き結婚相手と出会って結ばれた話をぜひ聞きたいところですが、長くなりそうなので割愛します(笑)。結婚生活はいかがですか?
息子は2歳になりました。かわいいけれど、大変ですね。食事中もじっとしていられません。寝かすのも一苦労です。妻からは「あなたは子どもとの付き合い方が下手。注意ばかりせずに誉めることも大事だよ」と叱られています(笑)。でも、子どもが泣き止まなかったりするとついイライラしてしまうんです。
――スナック大宮が息抜きになっていると幸いです。奥さんは気持ち良く送り出してくれますか?
そうですね。「知り合いのライターさん主催の飲み会に行く」と偽りなく伝えています。もちろん、妻の機嫌がいいタイミングを見計らっていますけどね(笑)。
先日も「どこの幼稚園に入れるか」という話で大喧嘩をしてしまいました。うちの息子は早生まれなので、4月生まれの子どもなどに比べると発育が遅いのです。入園試験などでは不利になりかねません。妻によれば、この件に関して僕は真剣に考えていない、他人事で楽観的すぎるようです。彼女は関西出身なので東京に家族や友だちはいません。2歳児と向き合う毎日でストレスが溜まっているのかもしれませんね。僕と意見をぶつけ合って、思いきり泣くと気持ちが収まるみたいです。
――たまにはNさんではなく奥さんのほうがスナック大宮に参加したらどうでしょう(笑)。きさくな女性客も多いので奥さんにもいい友だちができるかもしれませんよ。話は変わりますが、仕事は順調ですか?
まあまあですね。今の病院では5年働いています。人間関係は悪くありませんが、僕を含めてほぼ全員が子持ちなので、仕事帰りに飲みに行くような関係にはなりにくいです。僕が所属している科だけは病院内の別館にあるので、他の科の人たちとの交流もほとんどありません。
以前に関西の小さな病院で勤務していたときは院長が飲み好きだったので、みんなでよく飲みに行きましたよ。ああいう雰囲気は今の仕事場にはないですね。
――最近、職場の人間関係は良くも悪くも希薄になっているみたいですね。かといって、家族とだけ一緒にいる生活では息が詰まるし視野も狭くなってしまいます。月に1度でも気軽に出かけられて、いろんな人とおしゃべりができる場へのニーズは高まっているのでしょう。つまり、スナック大宮の時代ですね(笑)。
恋愛や結婚だけでなく、誰かと親しくなるきっかけを求めている人は多いと思いますよ。スナック大宮は、みんなの共通点として大宮さんがいるので話がしやすいし、仲良くなりやすいのでありがたいです。
僕は島地勝彦さんの「サロン ド シマジ」も好きで、ときどき通っています。あちらは40代50代の男性客が多くて、経営者などのハイソサエティが中心です。僕なんかでは気後れしてしまうことがあります。スナック大宮はサロンドシマジのカジュアル版だと僕は思っています。とても気軽です。実際、値段も安いですしね(笑)。
――高名な「サロン ド シマジ」と比較してもらうなんて恐縮です……。最後に、スナック大宮にご意見などはありますか。改善できることであれば改善します。
特にありません。大宮さん、以前に一度スナック大宮をやめそうになったことがありますよね。ファンとしては、とにかく続けてほしい。それだけです。
ご新規のお客さんが来てくれるのも面白いけれど、やっぱり嬉しいのはNさんのような常連さんの存在です。何年かぶりでも気にせずに遊びに来てほしいといつも思っています。
「誰かと親しくなるきっかけを求めている人は多い」というNさんの言葉には深く共感しました。見知らぬ人と仲良くなる「きっかけ」とは「共通点」ですよね。学校や会社、子どもの保育園などは強力な共通点になります。でも、スポーツなどの趣味を共有する仲間もいいものだと思います。ちなみに僕は、愛知県蒲郡市にある実家近くのコーヒーショップ「喫茶スロース」のファンというつながりで、愛知県での友だちの輪を広げられています。僕の文章およびスナック大宮も、見知らぬ人同士が仲良くなる共通点になれたら素敵だなと思っているこの頃です。
著者プロフィール
- 1976年埼玉県所沢市生まれ、東京都東村山市育ち。男三人兄弟の真ん中。一橋大学法学部を卒業後、ファーストリテイリング(ユニクロ)に入社して1年後に退社。編集プロダクションを経て、2002年よりフリーライターになる。
高校(武蔵境)・予備校(吉祥寺)・大学(国立)を中央線沿線で過ごし、独立後の通算8年間は中央線臭が最も濃いといわれる西荻窪で一人暮らし。新旧の個人商店が集まる町に居心地の良さを感じていた。今でも折に触れて西荻に「里帰り」している。
2012年、再婚を機に愛知県蒲郡市に移住。昭和感が濃厚な黄昏の町に親しみを覚えている。月のうち数日間は東京・門前仲町に滞在し、東京原住民カルチャーを体験中。
2019年、長期連載『晩婚さんいらっしゃい!』により東洋経済オンラインアワード2019「ロングランヒット賞」を受賞。
<著書>
『30代未婚男』(リクルートワークス研究所との共著/NHK出版 生活人新書)
『ダブルキャリア』(荻野進介氏との共著/NHK出版 生活人新書)
『バブルの遺言』(廣済堂出版)
『あした会社がなくなっても生きていく12の知恵』(ぱる出版)
『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました』(ぱる出版)
『人は死ぬまで結婚できる~晩婚時代の幸せのつかみ方~』(講談社+α新書)
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