ハッピーカムカム(東京都港区)

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写真:峰尾さんの自宅があるタワーマンションのラウンジにて。「ヴェルサーチの服しか着たくない。だから会社勤めは無理」と言い切る峰尾さん。面白すぎる人物である。

スタッフ採用基準は「他人の話を黙って3時間聞ける人」
「代表の峰尾自らインタビューを受けます。それだけで、価値は十分におわかりいただけると思います」
 本連載は「こんかつ山」に登録した結婚相談所の中で、筆者によるインタビューを希望する相談所を訪れている。事前に冒頭のような自信に満ち溢れたメッセージを送ってくれたのは、東京のハッピーカムカムだ。
 ハッピーカムカムは「ワンランク上の結婚相談所」を標榜している。しかし、年収や職業、学歴などでの入会条件は設けていない。同社の「ランク」とは会員のスペックではなくサービスの品質を指すようだ。結婚相談所における品質の第一は、短期間で納得のいく結婚ができることだろう。ハッピーカムカムはどのようにしてそれを実現しているのか。
「当社の現場には16名のスタッフがいますが、その採用基準は『他人の話を黙って3時間聞ける人』です。1時間なら簡単ですが、3時間ちゃんと聞ける人はなかなかいません」
 代表の峰尾晋一さんによれば、ハッピーカムカムの初回カウンセリングは説明や営業トークは一切しない。その人が「どういう相手と結婚したいのか」という要望を2時間にわたってひたすら聞く。
 当然、聞く側にはスキルが必要だ。例えば、「優しい人がいい」という要望があれば、具体的にどのようなシチュエーションでどんな言動をする人を「優しい」と感じるのかを徹底的に掘り下げていく。すると、自分が本当はどんな人を求めていたのかが自然と見えてくるらしい。

ワンランク上の品質を実現する「業界内ブランディング」
「うちのスタッフは常に会員さんの情報収集をしています。自会員の情報はもちろん、加盟しているIBJ(会員情報を共有するデータベースシステムの一つ)の会員情報にも網を張っています。初回カウンセリングをしたとき、ご紹介できる人が頭の中でパッと10人浮かんだら、当社への入会をご案内できます」
 峰尾さんをはじめとするハッピーカムカムのスタッフは「業界内のブランディング」に力を入れている。同じくIBJ加盟の有力な結婚相談所に足しげく訪れて情報交換をし、信頼関係を構築しておくと、良質な会員情報が回って来ることがある。それは短期間での成婚に直結するので、「ハピカムさんにお願いすればお見合いがうまくいきやすい」と結婚相談所業界での評価が上がり、ますます情報が入って来やすくなるのだ。
「例えは悪いかもしれませんが、不動産業界と似ています。いい物件は早い者勝ちで、会員さんが検索し合う前に決まることも少なくありません。この業界は結局、人対人の仕事。いい情報は信頼できるところに渡したいと考えるのが人情でしょう」

東京・恵比寿にあるハッピーカムカムのサロン風景。近いうちに2店舗目を銀座に開設する予定だ。

東京・恵比寿にあるハッピーカムカムのサロン風景。近いうちに2店舗目を銀座に開設する予定だ。

時間をお金で買う時代。相談所は最短距離を提供できる
 斬新かつ本質的な考え方でハッピーカムカムを経営している峰尾さん。大学卒業後に入社したNTTデータを1年で退職し、ハッピーカムカムの前身となる法人設立メンバーに参加した。
 会社員生活はわずか1年間だったが、職場の先輩たちとの雑談から起業のヒントを得たという。
「27歳ぐらいの女性の先輩たちが、長年付き合っている彼氏が結婚してくれないとボヤいていました。ならば、最初から結婚願望がある人と付き合えばいいのに思ったのです」
 失った時間を取り戻すことはできない。しかし、これから何かを達成するための時間をお金で買うことはできる。峰尾さんは4つのビジネスを考えた。
「家事代行サービス、バイク便、超高級旅館、そして結婚相談所です。でも、私は家事ができないし、二輪免許はありません。旅館を作るにはお金がかかりすぎます。誰かの恋愛話を聞くのは大好きなので、結婚相談所には向いていると思いました」
 お金で結婚するまでの時間を買う時代。手軽で安価な婚活アプリが急成長しているが、峰尾さんはまったく脅威を感じていないと言い切る。
「婚活の定義が違うからです。アプリにいる人たちは『恋人がいない人』に過ぎません。結婚相談所にお金を払って来ている人は真剣に結婚したい人だけです。昔ながらの3ヵ月ルールにも意味があります。交際してからこの期間内に背中を押してもらうことが結婚への最短距離なのだと経験則でわかっているのです。
 一方で峰尾さんは結婚相談所業界もまだまだ未成熟だと感じている。会員数の多い大手の結婚相談所はサービスの質が良いとは言えず、カウンセリングに優れた個人経営の結婚相談所は紹介できる人の数に限りがある。
「うちは質と量の両方を担保できる体制です。このまま長く続けていけば業界ナンバーワンの結婚相談所になれるでしょう」
 高い目標を淡々と語る峰尾さん。謙遜などはしないが、自分の言葉で話しているのがわかるので嫌味はない。彼が率いる現場スタッフにもいつか会ってみたいと感じた。(取材日:2019年7月25日)

※ハッピーカムカムの問い合わせ先はこちらです。
※本記事は結婚相談所比較申込サイト「こんかつ山」で掲載していたものです。サイトの閉鎖に伴い、関係者の許可を得て、本ホームページに転載します。記事内容は取材当時のものです。

著者プロフィール

大宮 冬洋
大宮 冬洋
 1976年埼玉県所沢市生まれ、東京都東村山市育ち。男三人兄弟の真ん中。一橋大学法学部を卒業後、ファーストリテイリング(ユニクロ)に入社して1年後に退社。編集プロダクションを経て、2002年よりフリーライターになる。
 高校(武蔵境)・予備校(吉祥寺)・大学(国立)を中央線沿線で過ごし、独立後の通算8年間は中央線臭が最も濃いといわれる西荻窪で一人暮らし。新旧の個人商店が集まる町に居心地の良さを感じていた。今でも月に一度は西荻に「里帰り」している。
 2012年、再婚を機に愛知県蒲郡市に移住。昭和感が濃厚な黄昏の町に親しみを覚えている。月のうち数日間は東京・門前仲町に滞在し、東京原住民カルチャーを体験中。
 2019年、長期連載『晩婚さんいらっしゃい!』により東洋経済オンラインアワード2019「ロングランヒット賞」を受賞。

<著書>
『30代未婚男』(リクルートワークス研究所との共著/NHK出版 生活人新書)
『ダブルキャリア』(荻野進介氏との共著/NHK出版 生活人新書)
『バブルの遺言』(廣済堂出版)
『あした会社がなくなっても生きていく12の知恵』(ぱる出版)
『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました』(ぱる出版)
『人は死ぬまで結婚できる~晩婚時代の幸せのつかみ方~』(講談社+α新書)
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