TYCフェリーチェ(埼玉県さいたま市)

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写真:明紀さんは元ソプラノ歌手。竜也さんは清掃業も営んでいます。頼んだらこんな写真を撮ってくれました。ノリのいい夫婦です。

恋人がほしい、結婚したいと言いながら動き出せない人のために
 自分たちは「アプリ婚」を果たしたのに結婚相談所を開業した夫妻が埼玉県にいる。山村竜也さんと明紀さんだ。マッチングアプリは確かに手軽に利用できるが、玉石混交の中を1人で活動して自分なりの「玉」を探し当てて交際して結婚にまでたどり着くのは至難の業だ。それを実感している2人だからこそ、アプリでうまくいかなかった人をサポートする場を作っている。
 竜也さんは関西出身。高校を卒業してからは映画製作の道を模索し、次いでマンガ原作者を志して25歳のときに上京した。生計を立てるために始めた清掃の仕事で2020年の春に独立。個人でハウスクリーニングを請け負っている。
「関東に来てからはずっと彼女がいませんでした。彼女がほしい、と言いながら動き出せない人がいますよね。僕はその一人でした(笑)。結婚相談所の存在は知らなかったのですが、友だちに誘われて相席居酒屋に行ったことはあります。でも、男性に食事をご馳走になりたいだけの学生さんがいたりして、女性の目的がバラバラだなと感じました」
 竜也さんがマッチングアプリを始めたのは2019年の3月。竜也さんはすぐに結婚したかったわけではないが、かといって「遊び」目的でもなかった。ちゃんと寄り添え合える恋人が欲しかったのだ。

「ちゃんとした人」が少ないアプリで良縁をつかんだ2人の幸運と現実
 しかし、アプリも相席居酒屋と同じぐらい真剣度がバラバラだと竜也さんは感じた。お金目的なのかいきなり体の関係を求めて来たり、メッセージのキャッチボールがまったくできなかったり。
「ちゃんとした人が少ないな、と思ってアプリもやめようと思い、最後に連絡してみた相手が妻でした」
 アプリに登録している人たちは結婚目的とは限らないため、相性だけでなく「気持ちのタイミング」が合うことが必要だ。
 明紀さんが同じアプリに登録したのは2019年の4月。その数か月前までは、地元・埼玉県のつながりで知り合った恋人と結婚を見据えていた。しかし、3年ほど交際した末の婚約は破談になってしまう。
「29歳のときです。私は30歳までに結婚して子どもが欲しいと思っていたので、20代後半の貴重な時間を無駄にしてしまいました。素敵な出会いがあれば辛い思いを忘れられるかも、とも思ったんです」
 もちろん早く結婚したかったため、アプリのプロフィール欄には「結婚前提で交際したい」と明記。しかし、竜也さんと同じような体験をしたと明紀さんは振り返る。
「結婚をほのめかして近づいて来たけれど実は既婚者、みたいな人がいました。LINEのプロフィール写真で子どもを抱いていたり……。疲れていた頃に夫と出会うことができました」
 翌年すなわち2020年の8月には結婚し、今年は第一子を出産予定。わかりやすくトントン拍子だ。お笑いと会話が好きなことだけがほぼ唯一の条件である2人が出会えたことは強運と言えるが、アプリがきっかけであることは事実だ。にもかかわらず結婚相談所を開業したのは、明紀さんの失業と夢、そして2人の思いが背景にある。

お笑いと会話が大好きな2人。婚活の現状を知るたびに「婚活は一人では大変」という思いが強くなっているそうです。

お笑いと会話が大好きな2人。婚活の現状を知るたびに「婚活は一人では大変」という思いが強くなっているそうです。

自走できそうならばアプリを勧め、サポートが欲しい人には手を差し伸べる
 20代前半まではオペラ歌手として活動していた明紀さん。その後は地元のキッズパークに就職し、「歌のお姉さん」として働いていた。
「でも、コロナの影響で勤め先が今年1月に閉園してしまったのです。次の仕事を考えたときに、私も参加したことがある婚活パーティーの司会を思いつきました」
 婚活パーティーからの連想で「人と人をくっつける仕事」に興味を持ち、2人でできる仕事として結婚相談所にたどり着いた。開業は2020年の12月。ちょうど2年前には明紀さんは前の婚約者からプロポーズを受けていたのだから人生の一歩先はわからないものだ。
 今、2人の知り合いに声をかけたり近所にチラシを配ったりして少しずつ会員を募っている。婚活を「自走」できそうならばアプリを勧めることも厭わないという方針だ。
 竜也さんはマッチングアプリの使い方セミナーを定期的に開催することも考えている。使用人口が増えるにつれて、その目的や年齢層などで細分化されたアプリが登場しているからだ。
「僕たち自身がアプリで結婚できたのは事実ですし、だからこそできるアドバイスもあると思います」
 特に、今まで一度も婚活をしなかった人の場合、最初はアプリを経験してみるのも手だ。ただし、それでうまくいかなかったからといって結婚そのものを諦めないでほしいと竜也さんと明紀さんは強調する。
「やっぱりサポートが欲しい、という方のために私たちの相談所ではアプリからの乗換コースも用意しています。結婚相談所では、最初に重要なのはプロフィール写真と文章です。その作成のお手伝いにも力を入れていきたいと考えています」
 仕事でも恋愛でも挫折や悲哀をそれぞれ経験してきた2人。しかし、諦めずに婚活に向けて行動したことで良縁をつかんだ。運気のようなものを持っている夫婦だと思う。この2人にサポートしてもらえば、自然体で笑い合って一緒に過ごせるパートナーが見つけられるかもしれない。(取材日:2021年4月23日)

※TYCフェリーチェの問い合わせ先はこちらです。
※本記事は結婚相談所比較申込サイト「こんかつ山」で掲載していたものです。サイトの閉鎖に伴い、関係者の許可を得て、本ホームページに転載します。記事内容は取材当時のものです。

著者プロフィール

大宮 冬洋
 1976年埼玉県所沢市生まれ、東京都東村山市育ち。男三人兄弟の真ん中。一橋大学法学部を卒業後、ファーストリテイリング(ユニクロ)に入社して1年後に退社。編集プロダクションを経て、2002年よりフリーライターになる。
 高校(武蔵境)・予備校(吉祥寺)・大学(国立)を中央線沿線で過ごし、独立後の通算8年間は中央線臭が最も濃いといわれる西荻窪で一人暮らし。新旧の個人商店が集まる町に居心地の良さを感じていた。今でも折に触れて西荻に「里帰り」している。
 2012年、再婚を機に愛知県蒲郡市に移住。昭和感が濃厚な黄昏の町に親しみを覚えている。月のうち数日間は東京・門前仲町に滞在し、東京原住民カルチャーを体験中。
 2019年、長期連載『晩婚さんいらっしゃい!』により東洋経済オンラインアワード2019「ロングランヒット賞」を受賞。

<著書>
『30代未婚男』(リクルートワークス研究所との共著/NHK出版 生活人新書)
『ダブルキャリア』(荻野進介氏との共著/NHK出版 生活人新書)
『バブルの遺言』(廣済堂出版)
『あした会社がなくなっても生きていく12の知恵』(ぱる出版)
『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました』(ぱる出版)
『人は死ぬまで結婚できる~晩婚時代の幸せのつかみ方~』(講談社+α新書)
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