ダニエル・E・リバーマン『人体600万年史』など

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以下、先月分の読書録です。

☆藤沢周平『三屋清佐衛門残日録』/〇宮部みゆき『荒神』/☆石井洋二郎『差異と欲望』/☆内田樹『街場の現代思想』/〇三浦しをん『星間商事株式会社社史編纂室』/〇内澤旬子『漂うままに島に着き』/〇岩下尚史『芸者論』/〇ダニエル・E・リバーマン『人体600万年史』(〇は初読、☆は再読)

 表題作は「面白くてためになる本」の代表例みたいな本です。人類が類人猿から分岐してからの600万年を、「身体」を切り口に振り返りつつ、ある疑問への答えを科学的に追求していきます。近代以降、科学は大いに進歩して寿命も延びている一方で、肥満や糖尿病、骨粗しょう症などが激増しているのはなぜなのか。どのように予防・改善するべきなのか。高尚なテーマですが、ポップな語り口調で読みやすく書かれています。

<かつて私たちは長いこと、定期的に長距離を歩いたり走ったりしていた。木に登ったり、地面を掘ったり、ものを運んだりすることも日常茶飯事だった。だから私たちは身体的に活発な、持久力の高いアスリートであることに適応している。食べ物に関して言えば、果実、塊茎、野生の鳥獣、種子や木の実など、雑多なものを食べるように進化してきたが、それらは総じて糖分や塩分や単糖類が少なく、タンパク質や多糖類や食物繊維やビタミンが多く含まれている食物だった>(本文より抜粋)

 僕たちの身体の構造と機能は狩猟採集民時代と基本的には変わらず、農業革命・産業革命・IT革命による環境変化(体をほとんど使わずに加工食品を豊富に食べられる、快適で清潔すぎる暮らしを実現)にはうまく適応していないということですね。うーむ、納得。移動はできるだけ徒歩、電車内では座席に座らない、掃除や洗濯などの家事(運動)をこまめに行う、穀物やイモ類を食べ過ぎない、お菓子などの加工食品を常食しない、といった「快適過ぎない環境」を自分に課すべきだと改めて感じました。

著者プロフィール

大宮 冬洋
 1976年埼玉県所沢市生まれ、東京都東村山市育ち。男三人兄弟の真ん中。一橋大学法学部を卒業後、ファーストリテイリング(ユニクロ)に入社して1年後に退社。編集プロダクションを経て、2002年よりフリーライターになる。
 高校(武蔵境)・予備校(吉祥寺)・大学(国立)を中央線沿線で過ごし、独立後の通算8年間は中央線臭が最も濃いといわれる西荻窪で一人暮らし。新旧の個人商店が集まる町に居心地の良さを感じていた。今でも折に触れて西荻に「里帰り」している。
 2012年、再婚を機に愛知県蒲郡市に移住。昭和感が濃厚な黄昏の町に親しみを覚えている。月のうち数日間は東京・門前仲町に滞在し、東京原住民カルチャーを体験中。
 2019年、長期連載『晩婚さんいらっしゃい!』により東洋経済オンラインアワード2019「ロングランヒット賞」を受賞。

<著書>
『30代未婚男』(リクルートワークス研究所との共著/NHK出版 生活人新書)
『ダブルキャリア』(荻野進介氏との共著/NHK出版 生活人新書)
『バブルの遺言』(廣済堂出版)
『あした会社がなくなっても生きていく12の知恵』(ぱる出版)
『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました』(ぱる出版)
『人は死ぬまで結婚できる~晩婚時代の幸せのつかみ方~』(講談社+α新書)
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