マリッジテラス五反田(東京都品川区)

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写真:左から、大越さん、高野さん(代表)、安部さん、青柳さん。「気づいたら仲間が増えていました。マンガの『ワンピース』みたいですね」(高野さん)

癌のおかげで、誰でも受け入れられる度量ができた
 小さな結婚相談所を訪問する本連載。今回で40回目を迎える。代表カウンセラーにできるだけ読者目線の率直な質問をぶつけて、各相談所の個性や特長を引き出しているつもりだ。
 婚活中の読者に大切にしてほしいのは、「この人の話なら素直に聞けそう」という感覚だ。特にアラフォー以降の婚活は基本的に苦しいものだし、理想と現実のギャップに直面することもある。
 そのときに的確な助言と提案をしてくれるのが結婚相談所のカウンセラーだ。しかし、信頼関係がなかったらアドバイスに耳を傾けて前に進むことはできない。この連載でカウンセラーの人柄や経歴を確認しながら、自分との相性がいい相談所を探してほしいと思う。
「2012年に独立開業して半年後に再発率が高い癌が見つかりました。すぐに手術です。抗がん剤治療も2年間はかかりました。大変な経験をした分だけ、どんな方が来ても受け入れられる度量ができたとありがたく感じています」
 Zoom画面の向こう側から、熱を感じるほどポジティブで上品なエネルギーが伝わってくる。東京の五反田を拠点に結婚相談所「マリッジテラス五反田」を運営している高野洋子さんだ。

女子大卒の専業主婦。この経験が生かせる仕事がある
 五反田には、東京のお嬢様系学園の一つとして知られる清泉女子大学がある。高野さんは同大を卒業と同時に結婚して専業主婦になったため、正社員として働いたことは一度もないと明かす。
「母校の助手やテーブルコーディネートの仕事など、パートタイマーとしては働いてきました。でも、女の人にとって年齢を重ねることがプラスになる仕事は何だろう、とずっと考えていたんです」
 きっかけは30代後半のときに訪れた。テーブルコーディネートの仕事でホテルのウェディングフェアを手伝い、年配の女性たちが元気に働いている現場を見たのだ。
 結婚業界に興味を持った高野さんは仲人業を志す。ただし、いきなり独立は難しい。
「ブライダルサロン自由が丘の丸山和子先生のもとで2年半、修業をさせていただきました。成婚の出し方を学べたと思っています」
 成婚の出し方とは何か。それは、会員を「お客様」にはしないこと。結婚相談所の役割は、「悩みを聞く」ではなく「結婚に向けたカウンセリング」にある。会員の希望を聞きつつも、結婚相談所ができることとできないことを率直に伝え、信頼関係を築かねばならない。
「会員の心をつかみなさい、と丸山先生からは教えていただきました」
 そのまま開業していたら、高野さんは「お嬢様育ちの優しく真面目な仲人さん」で終わっていたかもしれない。しかし、上述のように大病を経験したため、高野さんの中で何かが吹っ切れた。
「うちは年齢、学歴、職業、病歴などの条件をつけずに入会していただけます。条件面で自信がない人が多いのですが、自己肯定感を上げていくことが私は得意です。『生きていれば大丈夫よ』というスタンスですから。ただし、みなさんのマインドを変えていくにはこちらも相当な熱量で接しなければなりません」
 適切な自己肯定感を持てば、自分にとって本当に大切なものがわかる。子ども、仕事、ライフスタイル……人それぞれだろう。それを一緒に守ってくれるパートナーであれば結婚はうまくいく、と高野さんは確信している。

専用のイベントスペースでZoom取材に応じてくれた高野さん。毎月第三日曜、招待制の交流イベント「スナックマリテラ」を開催している。高級酒がズラリ!

専用のイベントスペースでZoom取材に応じてくれた高野さん。毎月第三日曜、招待制の交流イベント「スナックマリテラ」を開催している。高級酒がズラリ!

愉快なスタッフと愛する五反田。ご縁を大事にしたい
 マリッジテラス五反田には高野さんを含め4名のスタッフがいるが、その集まり方が興味深い。事務を担当している青柳裕子さんは高野さんの「ママ友」だ。
「肉体労働には向いていないのにお掃除の仕事をされていたので、うちがアルバイトを雇えるようになったらスタッフになってほしいと思っていました」
 同じく事務の大越葉さんは高野さんの実の娘。結婚して会社を辞めてフラフラしていたのでマリッジテラスに誘った、と高野さん。かつての自分を見るような気持ちだったのかもしれない。
「サブカウンセラーの安部は、以前は8年間も別の結婚相談所でカウンセラーとして働いていました。理詰めで婚活テクニックの研究と伝授が得意。私とは違うアプローチができる実力派のカウンセラーです」
 高野さんと安部さんのコンビネーションにより、会員は婚活の進め方を選べるようになった。ただし、「成婚主義」という点は一貫している。退会は幸せな結婚を決めたときだけにこだわりたい。
「安部の加入によって休会をする方が減りました。うちの会員さんは成婚退会後もつながることを希望することがほとんどです。私たちとしても、出産祝いを渡して初めて卒業だと思っています」
 現在までにマリッジテラス五反田が見届けた成婚は130組を超える。そのうち、離婚してしまったカップルは3組だという。3組に1組が離婚する世の中なので低い確率だし、退会した人たちの近況を「ほぼ把握している」と言い切れるのがすごい。
 学生時代から五反田という地域に愛着がある高野さんは五反田商店街ともつながり、最近は塗装関係などの職人を会員に勧誘している。結婚相談所の会員には少ない職種だが、高野さんは地域での「ご縁」を重視しているのだ。新規会員もネットからよりも口コミが多いという。
「半分は仕事ですけど、半分は生きがいです。ご縁のある方を大事にして、見届ける義務が私にはあると思っています」
 自分も仲間も輝きながら稼げて、愛する地域にも貢献できる。やり方次第では結婚相談所はいい仕事だな思った。(取材日:2021年3月11日)

※マリッジテラス五反田の問い合わせ先はこちらです。
※本記事は結婚相談所比較申込サイト「こんかつ山」で掲載していたものです。サイトの閉鎖に伴い、関係者の許可を得て、本ホームページに転載します。記事内容は取材当時のものです。

著者プロフィール

大宮 冬洋
大宮 冬洋
 1976年埼玉県所沢市生まれ、東京都東村山市育ち。男三人兄弟の真ん中。一橋大学法学部を卒業後、ファーストリテイリング(ユニクロ)に入社して1年後に退社。編集プロダクションを経て、2002年よりフリーライターになる。
 高校(武蔵境)・予備校(吉祥寺)・大学(国立)を中央線沿線で過ごし、独立後の通算8年間は中央線臭が最も濃いといわれる西荻窪で一人暮らし。新旧の個人商店が集まる町に居心地の良さを感じていた。今でも月に一度は西荻に「里帰り」している。
 2012年、再婚を機に愛知県蒲郡市に移住。昭和感が濃厚な黄昏の町に親しみを覚えている。月のうち数日間は東京・門前仲町に滞在し、東京原住民カルチャーを体験中。
 2019年、長期連載『晩婚さんいらっしゃい!』により東洋経済オンラインアワード2019「ロングランヒット賞」を受賞。

<著書>
『30代未婚男』(リクルートワークス研究所との共著/NHK出版 生活人新書)
『ダブルキャリア』(荻野進介氏との共著/NHK出版 生活人新書)
『バブルの遺言』(廣済堂出版)
『あした会社がなくなっても生きていく12の知恵』(ぱる出版)
『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました』(ぱる出版)
『人は死ぬまで結婚できる~晩婚時代の幸せのつかみ方~』(講談社+α新書)
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