お見合いおじさんが聞く!その1

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春の恋! 心優しいけれどモテない38歳男性が大変身の予感

 僕の数少ない趣味の一つは「恋バナ」です。食事会を主催することも好きなので、独身男女の出会いの場をセッティングしちゃうこともあります。2014年の春からは「お見合いおじさん」になることを宣言して、その活動報告を日経ウーマンオンラインにて連載させてもらっていました。成婚率ゼロのまま連載は終了しましたが、我がオネット(大宮ネットワーク)メンバーのその後は気になりますよね。盟友のイラストレーターつぼいさんと一緒に、彼らを引き続き応援していきます!

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 こんにちは。大宮です。

 日経ウーマンオンラインでの連載「お見合いおじさんは見た!」から引き続き読んでくれている方が多いと思います。ありがとうございます。すでにバレていると思いますが、僕にはお見合いのセンスと能力がありません。2年間で20組以上のお見合いを行って、成婚どころか交際率もゼロですからね。

 そんな僕にも特技があります。

 人の話をじっくり聞いて率直な感想を述べることです。あまり好きではない人の場合は取材中や執筆中に毒づいてしまうこともありますが、我がオネット(大宮ネットワーク)のメンバーの場合はその心配はありません。

 なぜなら、僕を頼ってくれた人たちですから。はっきり言って全員が可愛いです。愛情を前提に話を聞くことができます。「いい人」を紹介することは難しくても、ちょっと助言はできるかもしれません。

 一人目の面談者は、最も気がかりな男性メンバーである若林義彦さん(仮名、38歳)です。東京・西荻窪の老舗喫茶店「それいゆ」でカフェオレを飲みながら話を聞きました。

 若林さんは、インフラ系大企業の子会社でシステムエンジニア(正社員)として働いている心優しい青年です。担当している案件でトラブルがあれば夜中でも出勤しなければなりませんが、何も起きなければ18時には退社できます。大学卒業後は長く東京で一人暮らしをしており、家事も得意です。

 穏やかな性格と安定収入、家事能力の他にも若林さんには魅力があります。数年前に大病を患った経験(今ではほぼ完治)があり、両親のサポートを受けたことから「自分も家族を持って助け合いたい」という気持ちが高まっていること。つまり、すぐにでも結婚したいのです。

 女性に求める条件は「タバコを吸わない、東京に住む、子どもを作る努力はする」の3点のみ。年上の女性でも問題ないそうです。30代後半の男性で年上OKと公言する人はとても貴重ですよね。

 婚活にも積極的で、街コンや婚活パーティーにも月2ペースで参加しています。僕のオネットの他にも、個人経営の結婚相談所に入り、通算で10人の女性とお見合いすることができたそうです。

「残念ながら特定の人とお付き合いするまでには至っていません。先日は40代が中心のパーティーに参加して2人の女性に連絡をしてみました。一人からは返信がなく、もう一人からは『遠距離なのでちょっと…』とデートを断られました」

 誠実で一生懸命な若林さんですが、モテるタイプではありません。頭髪がかなり後退しているというルックスだけが問題なのではなく、アニメや鉄道にややオタクであり、今までに女性と付き合ったこともないため、初対面の女性からは敬遠されてしまいがちなのです。

「結婚相談所で紹介された人を僕から断ったことは一度もありません。でも、ほとんどの人には断られてしまいました。デートを重ねることができた数少ない女性の一人があるとき寒がっていたので、『大丈夫ですか』と少しだけ手に触れたことがあります。すると彼女は手をサッと引っ込めてしまい、二度と会うことができなくなりました。僕はそんなに気持ち悪いのでしょうか……」

 試しにそのときの触り方を僕に再現してもらいました。若林さんは上目遣いにおずおずと手を伸ばして来るので、確かにちょっとゾクッとします。

 若林さん、ここでアドバイスをさせてください。あなたは性格的にはまったく問題ないし、定職にも付いています。必要なのは「小手先の努力」です。美容師さんに相談して髪型を精悍にさせて(薄毛でもプロならなんとかしてくれます)、白とベージュが中心の服装も濃い色や鮮やかさを取り入れてみませんか。

「結婚相談所で紹介されたスタイリストの方と一緒に買い物に行ったことがあります。そのときに選んでもらったのが黒のニットジャケットです」

 黒のニットジャケット! 若林さんを男っぽく変身させてくれると思いますよ。さすがプロの選択だな~。というか、若林さんは僕との面談の後は独身の女性も来る食事会に参加する予定なんですよね。どうしてその勝負ジャケットを今日も着てこないんですか!

 いえ、今日の服装(ベージュのジャケットと白の綿パン)も似合っていますよ。でも、優しいあなたが着ると余計にボンヤリした印象になります。「いい人なんだけど異性は感じない」と言われる典型例、という感じです。

 すみません、興奮して言いすぎました。

 若林さんの美徳の一つは素直さにあるので、髪型と服装はそれぞれのプロにお任せすれば大丈夫ですよね。

 僕の仕事は他にあります。若林さんの現状の人間関係には「恋愛の芽」は本当にないのかを確認することです。

「実は、去年の春から月1ペースで集まって山登りや家飲みをしている人たちがいます。ある婚活ツアーで知り合った人たちです」

 先日は若林さんの家でホームパーティーをして、みんなから「キミたち付き合っちゃえばいいのに」と言わられた女性がいました。2歳年下の会社員、杏子さん(仮名)です。

「以前から僕に好意を持ってくれている気はします。山登りをしたときはちょっかいを出して来たし、ホームパーティーをしたときは『準備をがんばっているね』と誉めてくれたり、すごくリラックスして『私はここに住む!』と言いながら寝転んでいました」

 なるほど、好感触ですね。では、若林さんはどう思っているのでしょうか。

「すでに10回以上も会っているメンバーなので、付き合ったりすることで仲間の輪を壊したくない、という気持ちがあります。僕は結婚はしたいけれど恋愛体質ではないので、誰かをすごく好きになったり嫌いになったりすることがないのです」

 再びアドバイスをさせてください。

 もし杏子さんとの関係を進めてもいいと思うのであれば、「あえて好きになる」という姿勢も大事ですよ。杏子さんの身になって考えれば、「あなただからこそ付き合いたい」と言ってもらいたいはずですから。

 ではどこを好きになるのか。「自分を誉めてくれる、ちょっかいを出してくれる」という点だけでは足りません。もっと客観的な視点で杏子さんの美質を探して、彼女にも伝えるようにしましょう。

「表情が明るくて笑顔が素敵ですね。会社勤めをしながら大学に入り直すほどの勉強家でもあります。僕にはとても真似できません」

 表情が魅力的で、知的な向上心と行動力がある女性、なのですね。ならば、その点を具体的な言葉にして誉めるようにしましょう。最初は緊張してぎこちなくなってしまうかもしれませんが、少しずつ慣れていきます。杏子さんもきっと喜んでくれて、若林さんの好意も伝わるはずです。

 若林さんの近況、いかがでしたでしょうか。彼には今年中に何かいいことがあるはず、と感じたのは僕だけではないと思います。髪型と服装を少し変えて、杏子さんをちゃんと誉めながら、他の婚活も引き続き行っていれば、念願の結婚が近づいてくるでしょう。

 若林さん、おめでたいご報告を待ってます!

イラスト:つぼいひろき

著者プロフィール

大宮 冬洋
大宮 冬洋
 1976年埼玉県所沢市生まれ、東京都東村山市育ち。男三人兄弟の真ん中。一橋大学法学部を卒業後、ファーストリテイリング(ユニクロ)に入社して1年後に退社。編集プロダクションを経て、2002年よりフリーライターになる。
 高校(武蔵境)・予備校(吉祥寺)・大学(国立)を中央線沿線で過ごし、独立後の通算8年間は中央線臭が最も濃いといわれる西荻窪で一人暮らし。新旧の個人商店が集まる町に居心地の良さを感じていた。今でも月に一度は西荻に「里帰り」している。
 2012年、再婚を機に愛知県蒲郡市に移住。昭和感が濃厚な黄昏の町に親しみを覚えている。平日の半分ほどは東京・門前仲町に滞在し、東京原住民カルチャーを体験中。

<著書>
『30代未婚男』(リクルートワークス研究所との共著/NHK出版 生活人新書)
『ダブルキャリア』(荻野進介氏との共著/NHK出版 生活人新書)
『バブルの遺言』(廣済堂出版)
『あした会社がなくなっても生きていく12の知恵』(ぱる出版)
『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました』(ぱる出版)
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